破産の準備
- 木村哲司
- 2020年7月31日
- 読了時間: 6分
更新日:2020年11月4日

自己破産を申し立てるしかないとなった場合、どんな準備が必要でしょうか。手順を説明します。
弁護士探し
まずは代理人になって色々お世話をしてくれる弁護士を探しましょう。このサイトにいらっしゃったのであれば、袖すり合うも多生の縁、私にお電話をください。
委任契約
まずは、あなたと私との間で委任契約を締結します。
契約書案は私が準備します。内容をよく確認してください。なにか注文があれば、そう言ってください。検討します。修正の必要がなくなったら、署名・捺印して契約成立です。
着手金を払っててください。金額や支払方法は相談しましょう。分割で支払っていただくこともあれば、法テラスの審査を受けていただくこともあります。
委任契約を交わしたら、返済は止めてしまって結構です。ただ、借入もしてはいけません。いずれ破産して踏み倒そうと思ってるのにお金を借りたりしたら詐欺です。牢屋には入りたくないでしょ。
委任状
破産の申立てを私に任せるという委任状をもらわなけれぱなりません。委任状案は私が用意します。署名・捺印し、私に渡してください。
委任状を書いたら、その後は返済しなくて結構です。
クレジットカード
破産する以上、クレジットカードは使えません。すべてカード会社に返還します。自分の手でハサミを入れて、私に預けて下さい。
資料が必要です
まずは、どんなところからいくら借りているかを知らなければなりません。下記のものを持っていたら、持参するか郵送してください
契約書の写し
請求書・請求葉書・封書での請求書面
借入れや返済のときに受け取った書類、伝票
家計簿
ありますか。全然もってない人もたくさんいます。持っている人でも、キャッシュマシーンで借りたときの伝票2~3枚とかいう方も珍しくありません。でも、なにかある法がなにもないより遥かにましです。あるだけのものを持ってきてください。
預金通帳
預金通帳もあるだけ持ってきてください。自分名義の口座すべて、2年分が必要です。その写しを裁判所に提出しなければなりません。預金通帳は情報の宝庫です。
裁判所や破産管財人が疑問に思うことはすべて答えられるようにしておく必要があります。たとえば、個人からの送金があると、その人から借金しているのではないかとの疑問が生じます。個人への送金があると、返済じゃないかということになります。
保険料の引落しが3件あるのに、保険証券が2枚しかないとなると、保険があるのに隠しているんじゃないかという疑いを持たれます。解約返戻金が数百万円あるような保険を隠していたりしたら、免責決定が下りなくなる危険があります。
預金通帳の記載について、申立前に十分な確認をしておくことが破産手続きをスムーズに進め、免責決定を確実に得るために必要です。
預金通帳を見せていただいたら、その細かな記載についてお尋ねしますので、教えてください。
生命保険
生命保険に入っていたら、保険証券を持ってきてください。
その他資産に関する資料
自宅や別荘を持っていたら、その登記や権利証が必要です
自動車を持っていたら、その車検証の写しをください。
株式だの社債だのを持っていたら、証券会社からの通知書をください。
その他、資産家に関する資料を見せてください。
取引履歴のチェック
貸主から取引履歴が送られてきます。着いたらすぐにあなたにお送りします。
あなたがいつ、いくら借りて、いつ、いくら返したかという記録です。でもチェックするたの資料がない方がほとんどです。
資料もないのに確認なんかできませんよね。仕方がありません。明白な間違いがない限り、それでよしとしましょう。たとえば、1016年(平成28年)のリオオリンピックがあった年にパチンコで一発当てて、5万円まとめて返したのに、それが書かれていないとかです。ただ、証拠も必要なので、たとえば6万円あてて、それをそのまま預金口座に入金し、翌日、5万円を引き出して返済にあてたとかして、5万円を引き出したことが通帳に現れているとかいうような証拠がないと争うのがなかなか苦しいですよね。
はたまた、その年の3月13日に30万円も借り入れたなんて記録があるとします。そんな記憶はありません。借り入れた額は10万円だけです。その頃、結婚したいと思っていた彼女から20万円もする指輪をねだられていました。15日が彼女の誕生日だったんだけど、その前々日になっても、預金残高が12万円しかなかったので、10万円を引き出して、10万円を借り入れ、指輪を買ってプレゼント。めでたくゴールインということになればいいんだけど、4月にはふられてしまったなんてことがあると、これは明確な記憶が残ります。忘れたい記憶ですけど。自分の預金通帳には13日に10万円下ろした記録。指輪の領収書もありということになると、これは相応の証拠に基づき貸主が提示した取引履歴に誤りあると主張することができるようになります。
ただ、こんな、証拠により明白な間違いと言えるような記載がない限り、開示された取引履歴でよしとするしかないでしょう。事務所に電話して「間違いないと思います。」とおっしゃってください。
計算し直して、正確な借金の残高を計算します。今ではあまり期待できませんが、過払いが証する可能性もあります。過払金があるのであれば、取り返します。それで予納金が用意できたりすることも昔はありました。
まとまって返ってくれば、破産しても99万円までは手元に残せます。
陳述書
陳述書という書面を申立ての時に裁判所に提出する必要があります。用紙がありますので、それに記入してください。それをそのまま裁判所に提出するわけではありません。思い違いとか色々あるので、他の資料と付き合わせて矛盾のないようにします。
また、浪費だの不公平な返済だのという免責不許可事由がある場合には、それでも免責してもらうための事情を書いておく必要があります。
いずれにしろ、わかる範囲で書いてくだされば結構です。後は私が整理します。
家計全体の状況
1ヶ月分の収支を一覧表とします。これも用紙があります。申立前直近の2ヶ月分を退出します。たとえば、6月に弁護士に任せて、準備に半年かけるとして、12月に申し立てるとすると、10月分と11月分ということになります。12月15日に申し立てるとして、10月13日から11月12日まで、11月13日から12月12日まででもかまいません。
がんばって正確に書きましょう。適当に丸数字(要するに何千円とかきりのいい数字)を書いたんじゃ、がんばって正確に書いたことになりません。電話代なんか、1円単位で支払うでしょ。しかも、引落だったら通帳に書いてあるし、コンビニで支払ったら、領収書もあるし。
レシートをすぐに捨てていた人は、できるだけ持っておくことにしましょう。
申立て直前-通帳の記帳
申立ての日が決まったらお知らせします。その直前に預金通帳を記帳して持ってきてください。コピーしたらお返しします。
申立当日
朝起きたら、そのときに持っている現金を確認して、私の事務所に電話してください。
申立て
ご苦労様でした。申立ての準備は終わりました。私だけが裁判所に出頭します。あなたは電話を待っていてください。
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